みどりのマニフェスト(前文)
私たちは21世紀の政治をめざしています
私たちは、みなさんに提案したいことがあります。
それは、今の日本の政治や社会、経済を変えることです。みなさんにとって、今の日本社会は人間と環境にとって良好だと思われますか。私たちには、そうは思えません。
現在の日本社会では、企業家や資産家に対しては投資や投機を促す目的から税金が引き下げられ、逆に、一般の国民が支払う税金や社会保障負担は引きあげられています。従来は比較的平等であった日本社会でも貧富の格差が拡大し、弱者への痛みは増すばかりです。その結果として、社会不安が広がり、安全であることを誇ってきた日本社会も凶悪犯罪の増加といった現象に苦しめられています。そして、そのような「危険社会」に対処するために盗聴法、個人情報保護法、住民基本台帳ネットワーク、メディア規制、有事関連法など、国民の自由を奪い、民主主義を踏みにじる恐れのある管理強化策が推進されています。
私たちが望んだのはこんな社会だったのでしょうか。競争社会の中で将来の不安に脅えながら暮らす社会、街角を監視カメラが映し出す社会、国際的なテロに脅えてアメリカの軍事力に依存する社会。そのような社会を築くために、私たちは忙しく立ち働いてきたのでしょうか。
もちろん、私たちは、そのような社会を望んではいません。だから、私たちはみなさんに、今とは違った社会へと変えることを提案したいのです。
「変える」という言葉は多くの政治家や政党も使っています。でも、私たちが提案する内容は、他の政党とは大きく異なっています。
どこの政党も景気回復を唱えています。私たちも、景気が回復すること自体はいいことだと思います。しかし、景気がよくなれば、それで問題は解決するのでしょうか。20世紀型の政治であれば、それでめでたし、めでたしでしょう。でも、21世紀の政治を目指す私たちは、それで問題が解決するとは思いません。
自動車を例に考えてみましょう。景気が回復し、自動車の販売台数が増え、自動車産業の業績が伸び、そこで働く人々の賃金も上昇すれば、それでいいのでしょうか。実は、そこから先が問題なのです。国内外で大量に販売された自動車は、石油を大量に消費し、排ガスを大量にまいて、世界中を走り回ります。石油は少なくなり、大気汚染もひどくなり、交通事故は増え、道路などの建設で多くの税金も費やされます。
これからの政治は、こうした点にも目を向けるべきでしょう。すると、公共交通を充実させ、資源や環境への負荷を軽くしながら、経済や雇用も安定させる方法を考えなければなりません。このように、私たちは、環境問題や資源問題を解決しながら、雇用や経済を安定化させることを提案します。
また、あくせく働き、将来の不安に脅える現代社会のあり様は、とても新しい世紀にふさわしいものとは思えません。第二次世界大戦後、日本は、GDP世界第2位という物質的に豊かな社会となりました。しかし、現実には、誰もが長い労働時間と将来への底知れない不安を抱えています。私たちの物質的な豊かさは、安心してゆったり暮らせることには、活かされていないのです。なぜ、こんな豊かな日本で、私たちは時間に追われ、生活の不安に脅えながら暮らさなければならないのでしょうか。
ヨ−ロッパを見てみると、多くの国で年間5週間のバカンス(有給休暇)制度が導入され、週35時間労働制が実施されている国もあります。人々は生活を楽しむために働き、人生を送っています。
つまり、経済や社会のありかたを変えれば、ゆったり、ゆっくり、人生を楽しむことは、十分に可能なのです。私たちは、日本の物質的豊かさを生活の質的な向上のために使うことを提案します。
もちろん、私たちは、自分たちだけが豊かであればいいとは考えていません。私たちは電気や水道を使う生活を当然と思っていますが、世界にはきれいな水さえも手に入らない多くの人々がいます。そして、グロ−バル化の進行で、世界の貧富の格差は、拡大する一方です。ですから、私たちは、日本の豊かさを貧しい国の人々と分かち合うことを望みますし、世界の不公正と貧困を改革するために日本が先頭に立つことを願っています。よって、私たちは、日本の政治が世界の貧困と紛争の解決にイニシアチブを発揮することを提案します。
そして、最後に、平和と安全保障の問題にもふれておきます。イラクに自衛隊が派遣され、憲法9条を変える動きがある今、それに口を閉ざすことはできません。私たちは、自衛隊が海を越えて派遣されることには賛成できません。そして、集団的自衛権を行使して、アメリカとともに自衛隊が海外で戦闘することを可能にするような改憲案には反対です。私たちは、国連のもとでの警察的活動などは議論の余地をもつとしても、国際平和への貢献は、基本的に武力によらない方法で行うべきだと考えています。したがって、私たちは、平和的貢献のプロフェッショナルとして、日本を世界から一目置かれる国とすることを目標として提案します。
こうした考え方を元に、本文のなかで、政治改革や公共事業など、政治や経済、社会の何をどう変えるかという具体的な問題の指摘や解決の処方箋を、私たちは提案しています。
そして、多くのみなさんが、このマニフェストをお読みくださり、日本の政治を転換しようという私たちの実験に加わってくださることを願っています。
21世紀の政治を始めるには、みなさん一人ひとりの知恵と勇気が必要だからです。